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Promise.allSettled と Promise.any

Intro

Promise.allSettled()Promise.any() の仕様策定が進んでいる。

両者は近いレイヤの仕様では有るが、作業の進捗には差がある。

  • Promise.allSettled は Stage 4 であり、Chrome や Safari TP には実装もされている
  • Promise.any は Stage 2 であり、実装はまだない

ここでは、これらがあると何が嬉しいのかを Promise.all(), Promise.race() の特徴を踏まえて解説する。

Promise.all()/race()

Promise.all(), Promise.race() は、いずれも複数の Promise をまとめて処理する Utility Method のようなものである。

all は全ての Promise が Resolve したら Resolve し、race はどれか 1 つでも Resolve したら Resolve する Promise をそれぞれ返す。

const fetches = [
  fetch('./page1.html'),
  fetch('./page2.html'),
  fetch('./page3.html'),
  fetch('./page4.html'),
  fetch('./page5.html'),
]

// 全ての fetch が Resolve したら Resolve する
await Promise.all(fetched)

// 最初の一つが Resolve したら Resolve する
await Promise.race(fetched)

ただし、それは全ての Promise が Resolve することを前提とした場合である。

all/race ともに、そのうちの一部が Reject した場合を考えると意外と面倒くさい。

all + reject

all は、その中の一つでも Reject すると、全体が Reject してしまう。

try {
  const fetches = [
    fetch('./page1.html'),
    fetch('./page2.html'),
    fetch('./page3.html'),
    fetch('./page4.html'),
    new Promise((done, fail) => {
      setTimeout(() => fail('abort'), 10)
    })
  ]

  // 全ての fetch が Resolve したら Resolve する
  await Promise.all(fetched)
} catch(err) {
  // 一つでも Reject すると Reject する
  console.error(err) // abort
}

すると、「全ての処理が完了してほしい」という要件を満たすためには、リトライする必要がある。

しかし、上で言う catch された err は Reject されたエラーしか入ってないため、どこまでが成功しているのかはわからない。

そこで、どこまで成功したかがわかるように設計するか、諦めて全部やり直すなどを行う必要がある。

allSettled

allSettled は、all とは違い、個々が Resolve/Reject どちらになっても、最後までとにかく全て実行する。

実行した結果を配列として Resolve するため、基本的に allSettled 自体は Reject しない。

const fetches = [
  fetch('./page1.html'),
  fetch('./page2.html'),
  fetch('./page3.html'),
  fetch('./page4.html'),
  new Promise((done, fail) => {
    setTimeout(() => fail('abort'), 10)
  })
]

try {
  console.log(await Promise.allSettled(fetches))
  // 0: {status: 'fulfilled', value: Response}
  // 1: {status: 'fulfilled', value: Response}
  // 2: {status: 'fulfilled', value: Response}
  // 3: {status: 'fulfilled', value: Response}
  // 4: {status: 'rejected', reason: 'abort'}
} catch(err) {
  // 基本的に reject はしない
  console.error(err)
}

したがって、status: 'rejected' な結果だけをリトライすれば良い。

完了したものを無駄にせず、効率よく簡単に実装することができるだろう。

race + reject

race の場合は、最初の一つが Resolve する前に Reject した Promise があると、そこで全体が Reject してしまう。

const fetches = [
  fetch('./page1.html'),
  fetch('./page2.html'),
  fetch('./page3.html'),
  fetch('./page4.html'),
  new Promise((done, fail) => {
    setTimeout(() => fail('abort'), 10)
  })
]

try {
  console.log(await Promise.race(fetches))
} catch(err) {
  console.error(err) // abort
}

従って、「最初に Resolve する Promise を待ちたい」という要件を満たす場合は、リトライする必要がある。

any

any は race とは違い、Resolve する前に Reject する Promise があっても無視し、最初にいずれかが Resolve するまで待つ。

そして、全ての Promise が Reject した場合にのみ全体を Reject する。

const fetches = [
  fetch('./page1.html'),
  fetch('./page2.html'),
  fetch('./page3.html'),
  fetch('./page4.html'),
  new Promise((done, fail) => {
    setTimeout(() => fail('abort'), 10)
  })
]

try {
  console.log(await Promise.any(fetches)) // Response
} catch(err) {
  console.error(err) // 全部 reject した場合
}

従って、「最初に Resolve する Promise を待ちたい」という要件を満たす場合は、any を使えばそれだけで良い。

補足

Promise が Resolve した状態を Fulfilled, Reject した状態を Rejected と言う。

Fulfilled か Rejected どちらかになった状態、つまり成功失敗に関わらず「処理が終わった状態」を Settled と言う。

そして、Promise の配列を取る API で、まだ処理中の Promise がいても、中断して全体を Settled にすることを Short-Circuit と言う。

これを踏まえて分類すると、以下のようになる。

  • Promise.all: 全部 Fulfilled になるまで続け、1 つでも Rejected になると Short-Circuit する
  • Promise.allSettled: 全部 Settled になるまで続け、Short-Circuit しない
  • Promise.any: 1 つでも Fulfilled になると Short-Circuit する
  • Promise.race: 1 つでも Settled になると Short-Circuit する

つまり、終わる条件が Settled なのかどうかで分類できることがわかる。

この分類で行くと race はそもそも anySettled だったと言うことになる。

同じようにもし今名前を変えても良いのであれば、こうするとわかりやすいだろう。

  • Promise.allFulfilled: Promise.all
  • Promise.allSettled: Promise.allSettled
  • Promise.anyFulfilled: Promise.any
  • Promise.anySettled: Promise.race
Promise.allFulfilled = Promise.all
Promise.allSettled   = Promise.allSettled
Promise.anyFulfilled = Promise.any
Promise.anySettled   = Promise.race

DEMO

動作するデモを以下に用意した。